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人間、自然、文明、について愚見による考察とつぶやきです


by サーベルタイガー

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夢の治癒力

この本はユングの共同研究者としてユング心理学の普及に貢献しユング研究所の初代所長となったC・Aマイヤー博士の著書でインキュべーションについて解説しています。インキュべーションとは古代ギリシアで行われていた神殿で眠ることによって夢を見てそれによって病を癒やす神事です。同時にヒーリングであり現代の精神分析やカウンセリングの元祖といってもいいものです。
特に治癒神アスクレピオスは絶大な信仰がありエピダウロスは崇拝の一大中心地でもあった。ギリシア各地にこのような神殿、お籠もり堂や洞窟があり神事が行われていた。マイヤーの上げている例を紹介すると例えばレバティアの夢の神トロポーニスでは。この夢の神に癒やしの夢を見せてもらいたい者は、まず定められた家で物忌みの生活を送り、沐浴し、諸神に供犠を捧げて祈り、精進潔斎する。その後祭司が占いで資格のある者だけを参籠させる。有資格者は二人の少年にいざなわれて川に行き、油を塗られ、体を洗われる。それから二つの泉のほとりに運ばれる。一つは「忘却」、一つは「記憶」の泉である。ここで彼はまず「忘却」の泉の水を飲む。ついで「記憶」の泉の水を飲む。こうすることで「それまでに考えたことことをすべてを忘れ、かつ下方で見るであろうものを記憶する能力を得る」
次に彼は、一般人には見ることの許されていない神像を礼拝することを許される。それから白い服に着替え、「赤子のように」白い帯でくるまれる。
この後彼は梯子を使って、夢を見るための洞窟まで降りていく。両手には蜂蜜菓子が握られている。この菓子は洞窟内に住む蛇(夢の神の使い)をなだめるためのものである。
かくして穴に入った参籠者は、一夜ないし数日を穴の中ですごし、その間に神託を聞くか、霊夢を見る。そして、再び地上に復帰するのだが、その時彼は癒やされているのである。
アスクレピオスのヒエロン(聖所)ではやはり同じような浄化の儀式と沐浴が行われた。その後参籠者は寝椅子の上に横たわり、眠りについた。そしてもし正しい夢が見られれば参籠者は病から癒やされているのである。参籠者は夢の中でアスクレピオスの顕現を体験するという。
神殿には眠りの神ヒュプノスや夢の神オネイロスなどの像が祀られている場合もある(密教の五大尊みたいですね)。
治癒された者はそのお礼としての奉納額を納めておりその内容の一部は碑石文に刻まれていて多くの奇跡が記されている。一例を上げると
「ヘリケのアルケタス。この盲人は夢を見た。夢の中で神が彼のところへやってきて、指で彼の目を開いた。彼は最初に聖所の樹木を見た。夜が明けて、回復した彼は外へ出た」(イエスも盲人の眼を治した事に注意)これらの奇跡が全て事実だった訳では無いだろうが奇跡的な治癒も少なくなかったのでは無いだろうか。マイヤーによれば決定的な体験は夜に起こったという。治癒は夜に生起するのだ。またアスクレピオス神殿では音楽が演奏されていた。これは明らかにいわゆる音楽療法である。このような治癒の神殿がギリシア各地にあったのである。他にはアレクサンドリアのサラーピスのようなキリスト紀元後400年生き延びた古代治癒神もあった。では夢の中に現れて病気を治す神とは何者なのか?深層心理学的に言えば治癒の元型とも言えるかもしれない。すなわち深い心の深層にあってその人間のパーソナリティーに触れて劇的な内面の変化をもたらすものである。病気の原因がもし心因性のものならそれが治癒に結びつくこともあったかもしれない。
ただ確実なことは医者に見放された人々が身体と心と運命(なぜ自分だけ)の治癒と癒やしを求めてギリシア全土から参籠したということである。それがインキュべーション、夢見の秘儀であった。斎戒沐浴し、音楽で癒やされ夢の中で神々に会い癒やされたのである。
古代ギリシアでは身体と魂、身体的な病と心的な問題は同一のものであった。例えば病気と貧困という二つの概念は別のものでは無く、健康と富もそうであったという。これは現代人には理解しづらいことかもしれない。しかしこれこそ人間存在を全体として捉えることであり、現代医学の失ったものなのである。
インキュべーションそれはこの本の解説文の中で秋山さと子先生が記している次の一文に尽きると思います。それは全ての治癒の目的なのかもしれません。
「ユングが考えていた治療は、その問題ではなく、人生の意味や、自分の苦悩、さらに自分とはなにかということへの了解へと、患者を導くことであった。宗教的態度は、この洞察から自然にあらわれるものであり、それは症状が一時的に軽くなるということよりも、真の治癒と人格の変容を目指している。」
我々は夢の中で再びアスクレピオスに出会えるでのであろうか?
夢の治癒力_d0402776_16463287.jpg

アスクレピオス信仰の一大中心地エピダウロス。眼の病気、不妊、寄生虫などありとあらゆる病気に苦しむ参籠者が夢見の為に訪れた。
古代における奇跡的治癒が現代ではなぜ見られなくなったのか?
夢の治癒力_d0402776_16522570.jpg

古代地中海世界で最大の信仰を誇ったアスクレピオス。アポロンの子であり、治癒を司るケンタウロス族のケイロンに育てられる。アポロンは太陽神であるが予言と治癒の神でもあった。占いとヒーリング(医療)とは密接なつながりがある。チベット医学など。アスクレピオスの神殿は後に初期キリスト教の司教たちによって徹底的に破壊されそのすべては灰燼に帰した。
本当一神教というのは…。
夢の治癒力_d0402776_20083025.jpg
「夢の治癒力」(C・Aマイヤー 秋山さと子訳 筑摩書房)
本当は書評のつもりがインキュべーションの説明で終わってしまった(;^ω^)。とにかくマイヤーはこの古代ギリシアの夢見を現代の心理療法、特にユング心理学の方法論との共通性を見ていたわけです。つまり治療とは単に治すのではなく、身体、魂、運命を扱い、癒やすものであると。一般向けの本ではありませんが夢、癒やし、神話、心理療法に興味がある人には必読書です。
特に秋山さと子先生の解説が素晴らしい。ネットなどではそれなりのお値段がついてますが意外と図書館に入っていたり、古本市にあったりします。私は図書館の除籍本で手に入れました。また、神田の古本市に行きたい〜2年連続で開催中止だよ。

by sabertiger54 | 2021-11-12 12:38 | | Trackback | Comments(0)
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